真面目な人がキャラを作ると少し切ない
SNSで求められる適正が、どうにも自分とは真逆そうだと思い始めてます。
『普通の会社員が社長になって見た「港区の引力」の正体』という動画を観た。
人間心理の分析は大好物なので、こういったテーマは興味津々だ。
だけど、見ているうちに、内容よりも動画の構造そのものに興味が向いてしまった。またいつもの「考えすぎ」が発動している。
様々な研究結果を引き合いにだして、人間心理を丁寧に説明しているこの動画は、もしもこれが学校の授業であったならば確実に「面白い!」と評価される内容だと思う。
あの先生の話、わかりやすくって、すっと入ってくるんだよね。
なんて言葉がどこかから聞こえて来そうだ。
だけど、ここは学校ではない。
YouTubeである。
エンタメ要素の低い淡々とした語り口は、もともと興味のある人には響いても、通りすがりの人を引き留めるほどの吸引力は弱い。
チャンネル内の他の動画と比較しても、明らかに再生数が低い。
やっぱりそうだよね。
と思うと同時に、面白いことと有益なことのバランスをとるのって、本当に難しいな、と思う。
外資系大手コンサルタント会社のエリート社員だった動画主は、事情があって退職し、ベンチャー企業の経営を引き継いだ。会社の業績を伸ばすためにも、YouTubeを頑張らないといけない、という葛藤の中で、自身のキャラクターとインフルエンサーとして求められるキャラクターの違いにいつも悩んでいる……、いや、悩んでいた……、過去形になったのか、な。
まぁ、とにかく。
真面目に淡々と仕事をこなしてきた会社員が、ある日突然売れっ子インフルエンサーのような振る舞いをするのは相当に難しい。
もっと喜怒哀楽を激しくしたほうがいいかな。飲みながら話したらもっと素が出せるかな、と試行錯誤しつつ、あるときはインフルエンサー側にググッと舵を切り、また少しすると元の真面目な気質に逆戻りするという状況をずっと続けている。
その不器用さが、私自身のSNSでの葛藤にも重なって、何とはなしに気づくと動画をチェックしている。
エンタメ要素を混ぜたほうが大衆受けする。もっとキャラクターを出したほうが認知される。ユーモアを混ぜたほうが湧く。数字を伸ばすなら、真面目さよりも親しみやすさだ!
って、それは本当にそうなんだけど、自分の性格と違うことをするのって、どうにも落ち着かないし、本当にこれでいいのかって違和感がずっと付きまとう。
自分の経験に照らし合わせるならば、Xでの相互フォロー時代がそれだ。
フォローされて、フォローを返して、朝にはおはようとリプをして、いいですね、共感です、私も真似してみたいです、と嘘ではないけど、全部が本心というわけでもない言葉を並べる。
私にリプを送ってくれる人たちは、子犬のようなウルウルまっすぐな眼差しでもって「いいですね」と言ってくれてる気がするから、自分の不誠実さにうんざりすることがある。それでもこれが正解なのだから仕方がないと自分で自分に言い聞かせる。
よしっ、頑張ろう、頑張ろう、頑張ろう……って努力している自分を思い描こうとすると、スケートリンクの片隅にいる1羽のアヒルの姿が頭に浮かぶ。
長靴をはいたまま氷の上に立っているアヒルだ。
本人は真剣である。
ものすごく真剣である。
でも、客観的にみたらな、きっと少しだけ様子がおかしい。滑るための場所なのに、長くつを履いて踏ん張っている。
努力の方向がだいぶズレている。
そうしてたぶん、私もそんな感じだったのだろうな、と思う。
正しいことと、自分にできることは別だ。
成長のために、長靴からスケート靴に履き替える努力を続けるべきなのか、それとも長靴のままでも仲間外れにされない場所を探すべきなのか。
私はとりあえずXという場所からそっと離れて、Substackに移って来た。
先の動画主は、今もYouTubeで戦っている。
どれが正解というわけではない。人によって、立場も目的も環境も違うから、いろいろな形があっていいと思う。
それでも、自分の本質と違うところで試行錯誤をしている人を見かけるたびに、私はいつも「応援してるよ」と小さな声援を送りたくなってしまう。
その人を応援しているのか、かつての自分を慰めているのか、自分でもよくわからないけど。




はじめまして!面白い記事でしたし、
鴨葱あひるに更にプラスして
だいたい考えすぎという
ていうネーミングセンス?も、只者ではないニオイがプンプンしています✨
フォローして観察させて頂きたいと思います😁
動画見てきました!めっちゃ面白かったけど、確かにマニアックですね。青笠さんのお兄様なんだ…!青笠さんのことは存じ上げなかったのですが、訃報に際して親しい方々がコメントを出しているのを何度か見ていました。きっと絶大なプレッシャーの中で生まれた動画なのだなと思うと、感慨深いです。